放課後等デイサービス・児童発達支援での SST の活用方法

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放課後等デイサービス・児童発達支援での SST の活用方法

こんにちは。
今回は、以前コラムにアップした「SST」についてより詳しくお話していき、ZENIBAKO Brave の児童発達支援・放課後等デイサービスではどのように提供しているのかもお話していきます。

■SST ってなに?
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、社会で生活する上で必要となるスキルを身につけるためのトレーニングで、「生活技能訓練」や「社会生活技能訓練」とも呼ばれる認知行動療法の一つです。
自閉症や ADHD、学習障害などを持つ子どもは、人とのコミュニケーションが円滑にいかずストレスになったり、それが原因でトラブルを起こしてしまうこともあります。
年齢を重ねるにつれて、より他者とのコミュニケーションや社会生活への関わりが必要とされてきますよね。
そのようなストレスを軽減し社会生活を円滑に進められるよう、SST を通して児童への支援を行います。

社会生活に必要なスキルには以下のようなものが当てはまります。

・TPO に合った挨拶や会話
・自身の感情を適切に表現できる
・他者の感情を読み取る、理解する
・自身の情緒の安定

子どもの年齢や性別、特性に合わせたトレーニングを行うことで、生活上の困難を緩和し以下のような効果が期待できます。

・日常生活に必要な能力が身につく
・個性を大切にしながら苦手を克服できる
・コミュニケーション能力が身につく
・自己肯定感が高まる


■SST のトレーニングについて

◆SST のステップ
ソーシャルスキルトレーニングには一般的に、下記5つのステップがあります。

① 教示▷②モデリング▷③リハーサル▷④フィードバック▷⑤般化
この5つです。それぞれ簡単に説明します。

① 教示(説明する)
なぜソーシャルスキルが必要なのか、身につくことでどのような効果があるのかを説明します。

② モデリング(お手本)
お手本となるような他者の振る舞いを見せて学んでもらいます。また、不適切な振る舞いを見せて何が問題だったのか考えてもらいます。

③ リハーサル(実践)
ロールプレイングなどの方法で、演技しながら実際に練習してみます。

④ フィードバック(振り返り)
リハーサル内容を振り返り、出来ていたところと出来ていなかったところを確認します。適切であれば褒めて、不適切であれば修正のアドバイスをします。

⑤ 般化(日常生活で活かす)
トレーニングで身につけたソーシャルスキルが、どのような場面でも発揮できるようにしていきます。


■具体的なトレーニング方法
身につけることが必要なソーシャルスキル内容には、年齢により違いがあります。
トレーニングを始める前に、どこまでのスキルを持っているか確認し、対象者の年齢やスキルの程度により内容を選択します。
ここでは代表的なメソッドを紹介します。

◆ゲーム
年齢が低い対象には、ゲーム感覚で楽しめるソーシャルスキルトレーニングが効果的です。
ゲームは、ルールを守ったり場合により相談や協力する必要があります。
また、ゲーム内容によっては勝敗がありそれを受け入れる必要があるなど、様々なソーシャルスキル要素が含まれています。

◆ディスカッション、ディベート
これは、自分と他者との価値観や考え方の違いに気がつく方法として適しています。
違いを知るだけでなく、他者の意見を聞いた上で自分の意見をまとめて伝える、チームで協力するなどの姿勢が身につくことが期待できます。
対象者の年齢が低い時には、みんなが興味のあるテーマにしたり、時間や人数の工夫などで効果を高めていきます。

◆ロールプレイング(ロープレ)
実生活や現場での困難を想定し、どのように振る舞えばよいか練習するのがロープレです。
これは、現状の課題であるソーシャルスキルを深掘りして直接的なトレーニングができるので非常に効果的です。
指導者や対象者が複数参加で実施し、他の人は想定した場面に登場する相手役を演じます。
ロープレ終了後、良かった点を見つけて褒めることで対象者の長所を伸ばすことができたり、相手役はそれらを参考にし、同様の言動を取るように促すことができるメリットがあります。

◆ソーシャルストーリー
絵やテキストによってソーシャルスキルを学ぶ方法です。視覚情報から分かりやすく教えることで理解力を高め、自分の意思で適切な言葉遣いをしたり、適切な行動ができるように導く効果が期待できます。

■事業所で取り入れているプログラム
発達に心配のある子どもたちの中にはソーシャルスキルが不足している場合があります。
ZENIBAKO Brave では、児童発達支援・放課後等デイサービス共に、以下のような内容を実施しています。

◆挨拶
挨拶はコミュニケーションの基本で、良好な関係性を築くためには必要不可欠ですね。
どの場面でどんな挨拶が適切なのか分からなかったり、そもそもコミュニケーションが苦手な子もいます。
まずは挨拶をする意味や大切さを教え、その場でやって見せをします。
1 人で言うことが難しい時には一緒に「せーの」で復唱したり、挨拶をしたこと・しようとしたことを認め褒めることで、子どもたちの自己肯定感を高めていきます。
そもそも挨拶のパターンがよく分からないということもありますので、絵カードを用いて「こんな時は何て言うのか」を一緒に学んでいます。

◆相手の気持ちを知る・察する
発達に心配のある子どもたちの中には、相手の気持ちを察することが難しいといった特徴が見られることがあります。
また、発達に心配のない場合でも苦手なこともあるでしょう。
「こんな時どうする?」「こんな時は、どんな気持ち?」などの絵本や絵カードなどを用いて一緒に楽しく覚えたりよく考える時間を作ることで、自分と相手の気持ちや考え方の違いを知り、理解する練習をしていきます。

◆会話
挨拶と同様、良好な関係性を築く上で会話することは非常に重要ではないでしょうか?
上記のように相手の気持ちや考えを察することが難しいと、悪気なく相手を不快にしてしまったり、自分の考えや話したいことだけを一方的に話し続けることがあります。
上記で触れた絵本や絵カードを使い、基本的な知識を教えやって見せした上で、「こんな時どうする?」を実際にロープレしてどう感じたか・どこが良くてどこが良くないかを一緒に確認しています。
また、様々な言葉を「ふわふわ言葉」と「チクチク言葉」の2種類に分けてもらうことで、どの言葉がどのような印象を与えるのか、言われて嬉しい言葉は何があるのかを一緒に楽しく学びます。


■終わりに
適切な方法を知らないばかりに、どうしたら良いか分からずストレスを感じたり、ソーシャルスキルは身について当たり前と認識している周囲の大人や友達にとっても、「どうしてできないんだろう」とストレスになるのではないでしょか?
ソーシャルスキルは誰しもが自然と学習し身につけるものではありません。
特性から出来なかったり、自分一人で取り組むことが困難な子どもたちがいることを是非知ってほしいです。
出来ないことで悩んだり、困ったりしている子どもたちの心の声を聴いて、手を差し伸べ一緒に歩んでいきましょう。

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