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2022.04.25
コラム
児童発達支援で提供する療育の重要性
こんにちは。
今までのコラムでは、発達障害について、療育の意味や制度、児童発達支援や放課後等デイサービスについて様々にお伝えしてきました。
今回のコラムでは、タイトルにある「児童発達支援で提供する療育の重要性」に沿って、療育方法など詳しい内容についてご紹介します。
また、言葉の遅れや行動に不安を感じて早期療育の必要性について考えたり、「みんなと同じように!」など教育や矯正のために力を入れる保護者様もいると思います。
このコラムを読むことで、保護者様と子どもたちの心の負担軽減に少しでもお役に立てればと思います。
■療育とは
そもそも療育とはなんだったか?以前のコラムでお話ししていますが、今回初めてお読みいただく方や忘れてしまった方のために再度簡単に触れていきます。
療育とは、「障害のあるお子さまに対し、個々の発達状況や障害特性に応じて困りごとの解決や、将来に向けた自立と円滑な社会生活への参加を目指して支援する」ことをいいいます。
■療育ってどんなことするの?
発達に心配のある子どもが、身辺自立や苦手なことを伸ばすことを意識した支援や、コミュニケーションなど社会スキルを身につけられるように支援することが、私たちの役割であり療育です。
ただ一口に療育と言っても、必要な支援は子ども一人ひとり異なりますので一概に内容を説明できなかったり、施設により提供する指導方法やプログラムは様々です。
発達障害のある子どもの場合、大きく分けて2パターンの療育に分けられます。
◆個別療育
子どもと1:1で行う方法です。集団行動や生活が苦手な場合や、特性上1:1での指導が適している場合に個別療育を行なっています。
◆集団療育
子どもが5~6人集まって集団遊びや製作などを行う療育方法です。
他者と積極的に関わりを持たせながらコミュニケーションやソーシャルスキルを学びます。
次に、療育の具体的な種類についてお話しします。
個別療育・集団療育と言っても、実際にはどんな療育が行われるのか具体的なイメージが湧かないですよね。
実際の療育現場では、子どもの障害特性などに応じて様々な方法が行われています。
以下に代表的な療育の種類をいくつかご紹介します。
◆応用行動分析(ABA)
応用行動分析とは、環境を変えることで行動がどのように変わるかを分析することです。
応用行動分析には「強化」「弱化」「消去」の3つの基本原理があり、以下のように考えます。
「強化」→ 行動後に良いことが起こるとその行動が増える
「弱化」→行動後に良くないことが起こるとその行動が減る
「消去」→行動後に何も変化がないと、その行動が減る
以上3つの法則を見出すことにより、行動の予測がついたり制御することが可能となります。
【目的】問題行動を適正な行動に変化させる
【方法】なぜその行動をしてしまうのかの“きっかけ”を分析し、“結果”にアプローチする
【 例 】
強化:宿題をやる→褒められる→宿題をやるようになる
弱化:お手伝いをする→叱られた→お手伝いが減る
消去:自分の頭を叩く→無視される→叩くことが減る
◆TEACCH(ティーチ)
TEACCH は、自閉症の子どもや家族に対して行う療育プログラムです。
自閉症の発達過程を矯正するのではなく、個々の優れた部分を見つけ発揮できることを目指して提供します。
例えば、自閉症の子どもは言葉のみで指示するなどの「聴覚情報」理解が困難です。
そのため、行動や情報をイラストにした「視覚情報」として伝えることで、理解度を高め日常生活を円滑にします。
【目的】自閉症の特性を理解し、多面的に支援する
【方法】伝えたい物事を物理的・視覚的に構造化、「見える化」することで理解を促す
【 例 】「7 時にコンビニへ行く」など伝えたいことを、動作・場所・時間などをイラストにする
◆SST(ソーシャルスキルトレーニング)
SST は、日常生活において他者と関わるための能力を高めるトレーニングで、「生活技能訓練」や「社会生活技能訓練」とも呼ばれる認知行動療法の一つです。
自閉症や ADHD、学習障害などを持つ子どもは、人とのコミュニケーションが円滑にいかずストレスになったり、それが原因でトラブルを起こしてしまうこともあります。
子どもの年齢や性別、特性に合わせたトレーニングを行うことで、他者の視線や表情を読み取りその場に適した言動や感情表現などのスキルを身につけるなど、生活上の困難を緩和することが期待できます。
【目的】日常生活に必要なコミュニケーションや自己管理能力を高める
【方法】ディスカッション、ロールプレイ、共同行動などをなるべく現実に近い形で行う。ゲームなどもある
【 例 】
・お題となるシチュエーションで互いに演技し、「相手を気遣った言葉がけができましたね」などフィードバックする
・ゲームの中で「ルールを守る」「勝敗を受け止める」「チーム内で相談・協力する」などのスキルを楽しみながら身につけていく
このように、個々の発達状況や特性に合わせた療育の提供を行うことで、以下のような効果が期待できます。
・日常生活に必要な能力が身につく
・個性を大切にしながら苦手を克服できる
・コミュニケーション能力が身につく
・自己肯定感が高まる
子どもにとって療育は重要です。
では、保護者様にとってはどうなのか、子どもに対してどのように向き合うべきなのか、一緒に考えていきます。
■保護者の理解が、子どもと保護者のストレス軽減に繋がる
発達障害には周囲のサポートが必要不可欠です。どれだけ施設で療育を受けたとしても、周囲や家族からの理解を得られなければ子どもにとってはストレスになります。
子どもに発達の心配があることを認めたくない保護者様もたくさんいます。
・できないことに対して、怠けていると感じたり根性論で怒鳴ってしまう
・知識がない故に、子どもの特性による行動が理解できずイライラする
・公共トイレのジェットタオルを怖がる子どもに対して、使う練習を強要してしまう
皆さんはどうでしょうか?「できるだけ健常児に近づいて欲しい!」と力んでいませんか?
このような日常的関わりが続くことで、子どもはどうなるのでしょうか?
成長するにつれ「自分は周りとは違う」と感じるようになり、できないことを頑張りなさいと言われるストレスが蓄積し、二次障害に発展してしまうこともあります。
ここで改めて伝えます。発達障害は「脳の障害」です。できないものはできません。
怒鳴っても、イライラしても、強要しても、子どもにとってはただのストレス。
できないことに対してさらに保護者様はイライラして、まさに負の連鎖です。
「我が子にはこういう特性があるんだね」ということを知識として理解し、認めることができれば、それに合った接し方ができます。
1日の大半を子どもと過ごすのは保護者様です。
特に幼少期は保護者様との時間が多いですから、保護者様が自身のお子様の特性をしっかりと理解し関わることが大切です。
特性を理解し、知識を蓄えた上で早期療育に向けて動いたり、教育的観点からご自宅でもアプローチしてみてはいかがでしょうか?
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