「発達障害児の対応に困った時の Q&A “常同行動”編」

新着情報

「発達障害児の対応に困った時の Q&A “常同行動”編」

今回は、以前ご紹介しました「常同行動」についての理解をより深めるため、事例をもとに Q&A でお答えしていきます。
その前に今一度、常同行動とは何か軽く触れていきましょう。常同行動についてのコラムをお読みでない方は、
4 月6日アップの「発達障害児における常同行動の理由と対応について」をお読みください。


■常同行動とは■


常同行動とは「一見すると目的なく同じ動きを繰り返す行動」のことです。
例えばどのような行動が挙げられるのでしょうか?

・手をヒラヒラさせる、パチパチする
・ぐるぐる回る、同じところを行き来する
・体を揺らす、大声を上げる

などがあります。なぜ常同行動をするのか、主な理由は3つあります。

① 何かの欲求を訴えている
② 精神的な安定を求めている
③ 刺激を求めている
どのような常同行動がどのタイミングで見られるかは人によって違いますが、常同行動には子どもたちなりの理由があります!
ご理解をいただいた上で Q&A にいきましょう。

Q1. 電車などの公共交通機関を利用する際、毎回小刻みに体を揺らしたり、耳の辺りを手でポンポンする動作を繰り返して声を上げてしまいます。
目立つので親としてはどうしても気になってしまいますが、車がないので利用せざるを得ません。何か良い方法はありますか?

A. お子さまが不安がっている様子を毎日見ることは親にとっては心苦しいですよね。
理由として考えられるのは「電車の音や人混みの雑音に不安や不快感がある」のではないでしょうか?
電車などは特に音が大きい乗り物ですし、狭い空間に沢山の人々が密集しています。常同行動が見られるお子さまの中には五感中特定の感覚が敏感な子がいます。
周囲の人々のざわざわとした話し声、電車のガタンゴトン・すれ違う時のザッザッザッなど、多くの人には日常的になっている音でも「うるさい!」と感じやすいです。
今後も継続的に公共交通機関をご利用されるようでしたら、例えばヘッドホンやイヤホンをつけさせる、好きな音楽を聴かせるなど、お子さまが不快に思う音を遮断してはいかがでしょうか。
また、密集した空間が苦手なことも考えられますので、可能な限り空いている車両に移動するなどの配慮をして上げましょう。


Q2. 授業中、学習に躓くたびに大声で叫び、教室内をぐるぐると走り回ります。すぐに落ち着く時もあれば長いときは数分以上続くそうです。
新しい問題や難しい問題に突き当たった時に特に見られます。本人の学習進捗に響くだけだけではなくクラスメイトや先生にも迷惑が掛かってしまうので心配しています。

A. 周りの人にも迷惑が掛かるかも・・という不安な気持ちとても共感します。
周囲のこともそうですが、何よりお子さま自身が一番不安を感じているのではないでしょうか?
どうにかしたいけどどうしたら良いか分からない、悔しい、できない、もうやりたくない不安だよ、分からないよ!・・・
叫んだりぐるぐる回る常同行動の中に、いろんな理由や葛藤があることでしょう。
今後の対応として、まず学習の時のお約束を決めましょう。「常同行動をすることでみんなに迷惑が掛かるからやめて!」と言ってもなかなか難しいですし、理由としてあまり良い伝え方ではないですね。
例えば「教室の後ろで10回回ったら席に座る」「10秒間、教室の後ろで回ったら席に座る」など数や時間を決めて、行動を完全に止めるのではなく少しだけ発散させてはどうでしょうか?
席から離れる、少しでも回る・動くことが気持ちの切り替えにつながるかもしれませんね。
また、「難しいよ」と言いたい気持ちや「教えてほしいよ」と言いたい気持ちを訴えているとも考えられるので、できない・教えてほしいと思ったら「難しい、教えてプレート」をあげて先生に意思表示するなど、
そもそも走ったり叫んだりしなくても大丈夫だよ、ということを伝えていける方法を、保護者さまと先生とで相談して見つけていけたら良いですね。


■まとめ■


子どもの常同行動の背景には、子どもなりの理由があります。
「子どもに直してもらう」のではなく、「周りの大人たちが理解し関わる」ことが、常同行動の改善につながっていきます。
何か気になる症状や行動があったけどどこに行けばいいのか・誰に相談すればいいのかわからない・・・という時はお気軽にご相談ください。
大切なお子さまのお話をぜひ聴かせてくださいね。

CONATCT
お問い合わせ

営業時間 /
9:00〜17:30
定休日  /
土曜・日曜・祝日