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2022.08.05
コラム
「大人が大切にするべき声かけの仕方 “褒める・叱る” ~褒める編~ 」
7月11日にアップしたコラム「大人が大切にするべき声かけの仕方“褒める”」について、今度は別視点からご紹介します。
“褒める”に良し悪しがあるのはご存知ですか?「褒めるは褒めるでしょ!」と思う方もいるのではないでしょうか?
褒め方によって自己肯定感が下がったり、自分勝手な子どもに育ってしまうこともあります。
今回はこの“褒める”について再度振り返った上で深堀りし、子どもたちの自己肯定感を高めるための手助けになったら嬉しいです。
■褒めるとは■
褒めるとは、「他者のパフォーマンスや特性に対するポジティブな評価のこと」をさします。
評価している側の主観で相手の良し悪しを決めることなのです。
以前のコラムで“褒める”には3種類あるとお話しました。
◆おざなり褒め(具体性に欠ける、中身のない表面的な褒め方)
→すごいね!上手!etc
◆人中心褒め(性格・能力・外見など表面上の特徴が中心の褒め方)
→頭いいね!かわいいね!etc
◆プロセス褒め(努力・過程・試行錯誤した手順などが中心の褒め方)
→最後まで諦めないでやりきったね!失敗してもまたチャレンジできたね!etc
よく耳にするまたは口にする褒め方は、おざなり褒めと人中心褒めではないでしょうか?
実は、褒め方としてこの2つには問題があります。
■おざなり褒めと人中心褒めが望ましくない理由■
① 褒められ依存症になる
② 興味を失う
③ チャレンジ精神が低下する
④ モチベーションが低下する
① 褒められ依存症になる
例えば絵を描いて見せた時「上手だね!」「天才だね!」と言われたとします。このような褒められ方をされていると、
褒められないと自分や自分の能力に自信が持てず、外部からの承認でしか自分の価値を見出せなくなってきます。
「認めて欲しい、もっと褒めて欲しい」承認欲求が高まり、絵を描くことではなく褒められるために懸命にアピールします。
褒められることが自信や自己価値に繋がってしまっているので、褒められなかった時にはとても不安になったり、不機嫌になったりします。
② 興味を失う
「上手上手!」「すごいすごい!」と言われ続けると、褒められること自体に快感を覚え始め、「どうしたら次も褒められるようになるかな」と考えるようになります。
結果、褒められるためだけに行動をするようになり、せっかく楽しいと感じていたことにも意義を感じなくなってしまいます。
自分が描いた絵を誰も「上手ね、すごい」と褒めてくれなくなった時、「褒められないならもう描かなくていいや」という発想になります。以前は好きで描いていた絵が、
いつの間にか“褒められるために描くもの”になってしまいやめてしまうのです。
③ チャレンジ精神が低下する
子どもだけでなく私たち大人でも褒められるタイミングはありますね。
「あなたは本当に仕事ができる人ね!」「さすが!あなたに任せたら成功するね!」と褒められると、嬉しいでしょうか?人によると思いますが、筆者は正直プレッシャーです(笑)
これは子どもも同じです。
例えば「頭がいいね」と言われ続けると、「万が一失敗したら、“賢い”というイメージが崩れてしまう」とプレッシャーを感じ、
周囲からの評価が下がることを恐れて、失敗しないためにチャレンジすることを躊躇したり、言い訳をして自分を守ろうとします。
④ モチベーションが低下する
能力や努力の有無に関わらず毎回「上手!」と言ってもらえたら、どうでしょう。
特に頑張ってもいないのに「上手!」と言われ続けた結果、子どもは頑張らなくてもいいと思うようになり、努力をして何かを成し遂げることの必要性を感じなくなってしまいます。
大人も一緒ですね。ちょっとひねくれた考えかもしれませんが、ただ描いてみた絵に対して「すごいね!上手だね!」と言われると、「あ、この程度でいいんだ」と判断し、上を目指すことをしなくなります。
おざなり褒め・人中心褒めのデメリットをご理解いただけましたでしょうか?
褒めることは良いことである反面、とっても難しいことなんですね。
では今後はどこに意識を持って子どもたちを褒めたらよいのでしょうか。
■評価するならばプロセス褒め■
以前のコラムにて、プロセス褒めの例をいくつか挙げています。
子どもを褒めるときに大切なのは、能力や性格を讃えるのではなく、取り組んでいる過程での努力・挑戦した姿勢・やり方を工夫した点などに言及し、励ましてあげることです。
一生懸命に取り組んで完成させた絵を見せて、「わーすごい!上手に描けたね!」「才能あるね!」と言われるのと、
「細かいところまでキレイに描かれているね!」「完成するまでたくさん時間をかけて頑張ったんだね」と言われるのではどちらが気持ちが満たされるでしょうか?
すでに褒められ依存症になり、上手に描けたこと自体を褒めて欲しい子どもに成長してしまっていたら・・・前者の方が喜ぶかもしれません。
そうならないために、後者の「成果よりもプロセスを褒める」ことで子どもを良い方向に伸ばしていく必要があるのです。
プロセス褒めのポイント、覚えていますか?
◆成果よりも、プロセス(努力・姿勢・やり方・過程)を褒める
◆もっと具体的に褒める
◆もっと質問する
そして今回補足として「◆むやみやたらにコメントしない」をプラスします。
子どもが頑張っていることに対して大人は「定期的に何か言わないといけないかな?」と心地が悪かったりする人がいます。
そんなことはありません。そこを気にするとそれこそ“おざなり・人中心褒め”しか出てきにくい自体に陥り逆効果なので、毎回何か言う必要はありません。
子どもが求めるのは本来「評価」ではなく「共有」です。軽く頷いたり、笑顔を返したり、トントンと肩や背中を叩いてあげるだけでも子どもにとっては「感情の共有ができて嬉しい」のです。
■終わりに■
ZENIBAKO Brave では、幼児から小学生まで様々な年齢の子どもたちが来てくれています。
子どもへの何気ない言葉がけでその場は喜んでいたとしても、それが子どもの成長にとって適切かどうかは別です。
技術・知識量だけを重視して物事に取り組んでしまったり、できるかできないかのみに執着したり、
物事に対して偏った捉え方をしないように私たち大人が適切な声かけと対応を徹底することを常に心がけ、日々振り返りを行いながら、子どもたちの健やかな成長と発達を見守っています。
“褒める”ことに自信がない、逆によく叱ってしまうなど、お悩みや不安を抱えている方はぜひ一度お話をお聞かせください。
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